小樽には、名もなき光景がたくさんあります。
時代の残照がそこここを鈍く照らす街。
どれだけ撮り歩いても、まだまだ撮り足りない。行ったことのない街や場所が、まだまだたくさん。
この街を撮っていて、飽きることは全くありません。撮る度に新しい光景が目の前に広がる街、小樽。今年は今まで撮ったことのないエリアを…と思っていたときに歩いたのが、北西側に広がる、小高い山あいの街でした。
梅ヶ枝町、清水町、豊川町、石山町。小樽の象徴である坂道でつながるこのエリアは、海や港で語られるこの街のイメージと違い、山の中を思わせる一角です。
霧のように街を覆い、降り注いで坂を駆け下りて行く雨。道端に晴れた日とは違う濃い影がたたずむ光景に、私はなによりも小樽らしさを感じます。
そんな、名もなき光景が折り重なってできているのが、小樽なのではないでしょうか。
今年の私の作品は、untitled(アンタイトルド)…無題でありながら小樽を語る光景をテーマに、毎年おなじみの埠頭や街中の写真も交え構成しました。
この街を訪れているあなたも、この街に暮らしておられるあなたも、小樽というパズルのような街の一片に想いを馳せながら作品をご覧いただければ幸いです。
変わり続ける小樽も、変わらない小樽も、ずっと見続けていきたい。
カメラを手にした小樽好きのひとりとして、これからも。
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私・ウリュウ ユウキがこの作品『untitled …小樽と言う名の…』とともに9年目の出展をさせていただきました『2009 小樽・鉄路・写真展』は、9月13日(日)17時をもちまして、盛況のうちに閉幕を迎えることができました。
10年目を迎えた『鉄路展』。
この街で写真を撮り、作り、そして見せるという、私の写真活動の原点を毎年この場所で振り返り、この展覧会で続けて来ることができたのも、 ひとえにご来場の皆さま、出展者の皆さま、そして小樽の街そのもののおかげです。
心からお礼を申し上げます。ありがとうございます。
小樽という街を、撮る度に新しい視点で見つめ続ける。
一度たりとも同じ表情を見せないからこそ、撮る人も新鮮でいられる。
私はこれからも、変わらぬ小樽と変わる小樽を、新鮮な眼で撮り続けていきます。
また来年、小樽でお会いしましょう。
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2009年8月31日(月)〜9月13日(日)
北海道小樽市・旧国鉄手宮線跡地
(色内2丁目 マリンホール裏手)
●JR小樽駅から小樽運河に向かって徒歩7分 駅と運河の中間にあります
●24時間屋外展示 夜間はライトアップされます
●最終日は17時終了
●入場・観覧無料
●会場周囲への路上駐車はご遠慮ください
●くわしくは公式サイトも併せてご覧ください